30年以上使ってきた手作りのナイフが折れてしまいました。
このナイフについていろいろ思い出しました。
私の父は道具はなんでも自分で作る人です。
私が小学校の4年生の頃、父は両側がとんがった、断面が薄いひし形のやすりの片側を砥いで刃を付け、木を削って柄を作りナイフを作りました。
子供心にそれがうらやましくて、ある日自分で作ることにしました。
道具箱から父が使ったのと同じやすりを持ってきて、仕上げ砥石でやすりの片側の部分を砥ぎ落として刃をつけました。
一言で言うと簡単ですが硬いやすりの刃が小学生の子供にそう簡単に砥げるわけはなく、丸々1日、朝から晩まで研いでいました。
手の皮は砥石ですりむけて血だらけになりましたが、バンドエイドを貼ると手先の感覚がわからなくなるので血まみれのまま必死になって砥ぎました。
夜、やっと砥ぎ終わった手作りナイフをバンドエイドだらけの手で父に見せると、父は驚いて自分はグラインダーを使ったと話してくれました。
しかし、とても褒めてもらい、翌日ご褒美に素敵な手作りの柄を作ってくれました。
先日まで父の作ったナイフと私の作ったナイフはどちらも実家で柿をむいたり木工細工をしたりと便利に使っていましたが、先日私の作ったナイフがとうとう折れてしまいました。
手作りのナイフ、30年以上の長い間本当にご苦労様。